『チェ 28歳の革命』
マイルドで端正な実録映画といった作品でした。チェという人物のとんでもなさが発揮されるのはコンゴやボリビアに行ってからだと思うのだけど、そこはソダーバーグも同感らしくて今回は『39歳 別れの手紙』に向けたプロローグという格好でしょうか。民族解放と社会主義のアイコンにしては丸かったです。こう書くとイマイチな気がしますが、いやいや十二分に楽しんできましたよ。ベニチオ・デル・トロのチェは魅力的だったし(特に喘息で苦しむ姿は印象的です。僕も喘息持ちなので)、山中のゲリラ戦では装備や銃をずっと眺めてました。すいませんオタクで。とはいえ、僕のように「おおカミロ・シンフエゴスだセリア・サンチェスだ、そしてアレイダ・マルチは萌えキャラよのう」と騒げるキューバ革命ファンではないフツーの人は面白かったのでしょうか。その辺はまぁ、作り手もわかっているようでクライマックスであるサンタクララ市街戦はすっかりアクション映画しておりました。FPSっぽーい。あと、きちんとスペイン語だったのも評価したいです。国連での演説など、あれが英語だったら魅力が半減するでしょうから(スペイン語わかんないんですけどね)。
カストロ派の僕としては、フィデルの役者が素晴らしかったのが実にもって高得点です。メキシコ人のベテランらしいんですが、仕草がいちいちちゃんとフィデルっぽくて、声がやや高めなのも似ていました。たまらん。ゲバラの映画といえばオマー・シャリフ主演の『チェ』という作品がありまして、ジャック・パランスがフィデルを演じたのですよ。パランス自体は好きな役者なのだけど(『ガンマン大連合』!)、あの真ッ平らな顔でフィデルというのはなんぼなんでも無理がありました。映画の内容自体あまり覚えてなくて、パランスの記憶だけが飛び抜けて……。
『世界の歴史 ヨーロッパ近世の開花』
- 作者: 長谷川輝夫,土肥恒之,大久保桂子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2009/01/01
- メディア: 文庫
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