『K-20』

 去年は特に下半期映画観賞をサボっていたので、今年はがんばりたいところです。さて最初の映画は『K-20』でした。ソ連の潜水艦のようなタイトルだと思えてしまうのはさておくとして、最初興味はなかったものの、わりと評判がいいので観てみましたよ。やー、惜しい作品でした。や、期待度は低かったのでその分きっちり楽しめはしましたが。
 役者は浮き世離れした人をそろえていて、怪人20面相というファンタジーによく合っていました。特に中村トオル演じるところの明智小五郎はうさんくさくて素晴らしい。クラシックなスーツが実に似合います。徹頭徹尾頭が良さそうには見えないけれども。ビジュアルも趣味まる出しで充分アリです。東京タワーで何かすると思ったのに、そこは残念。しかし荒唐無稽なファンタジーとして役者や絵面はがんばっていたのだから、話ももっとはっちゃけても良かったのではないかと思うのです。照れがあるのかなぁ……あと、格差社会がどうとかいう中途半端なテーマっぽいものを盛り込むのも興ざめです。怪人20面相が悪役なら、もっとハッタリを効かせても欲しかったなぁ。悪役なんだからもっと凶悪でないといけません。そのくせ「怪人20面相は殺しだけはやらない」という結構大事なキーポイントをスルーしているのもよろしくない。もうひとつ、なんでエンディングテーマがオアシスなんだろう……。
 ファンタジー東京でピカレスクなヒーロー怪人20面相が高笑いし、明智小五郎とガチンコ勝負するという単純な冒険活劇で良かったのにな。とりあえず泥棒ノートは「おたから」、ハトへの偏愛は何の代償だろうと思いながら観てました。

  • とりあえず押さえるべき映画は『チェ』二部作に『007 慰めの報酬』『その男ヴァン・ダム』、あと岩波ホールへ『懺悔』観に行かなくちゃ。近所の映画館で『ゴッドファーザー』のデジタルリマスターを上映するのも外せません。