あと何回食べられるか冷やし中華

そして夏が終わった
まるで夏などなかったかのように
陽だまりは温かい
ただそれだけでは足りない

 温かいというには今週末の最高気温が34度などと予報が出ていますが。

 「楽園 Le Paradis」で連載中の東部戦線ウエスタン『スターリングラードの凶賊』1巻が9月29日発売です。去年は連載の谷間で単行本が出せなかったのでしばらくぶりですよ。よろしくよろしく!

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 父が亡くなりました。

 昭和ひとケタ上海育ち、終戦時には旧制中学の生徒で戦車への肉迫攻撃訓練を日々やらされていたとか、そういう世代です。大往生でありましょう。そろそろであるなと覚悟はしていたので驚きはありません。

 人付き合い下手。規範にそぐわない性格なのに生真面目で規範を重んじる。ストレス発散下手。個人としての権威を認めないくせに権威主義者。雑学的しきたり好き。耳学問の帝王。知らないと答えることが嫌いで知ったかぶりを多用する。他人のために何かをするのが好きだが往々にして見当はずれであり、相手がそれを望んでいるかどうかは頓着しない。会話では相手の発言の否定から入りがち。使わないカメラや呑まない酒を大量に持っている。

 列挙してみればそんなに珍しい性格ではないというか、オタクには馴染み深いタイプな気がします。じっさいミリタリーオタクであり、僕がこんな趣味になった入り口は父の蔵書を勝手に読んでいたからでした。しかも自分の性格がかなり父に似ているとわかってきて微妙な気持ちになることも多々……。

 とはいえ父と胸襟を開いて会話をした覚えがあまりないのです。常に知識や社会的地位といったロールでよろっていた印象かな。
我慢を重ね不満なことは多く、しかし身勝手なことも多かった。こう書いてみるとやはり人間そんなものだなと思えてきます。一人で本を読んだりカメラのことを考えているときがいちばん幸せだったのではなかろうか。

 子供の頃の印象ではおっかない親父だったし、身近すぎて欠点を知りすぎているものだから尊敬しているかどうかといえば首をひねります。
 とはいえこんな不器用なおっさんでも家庭を持ち、3人の子供を育てたのは立派過ぎるほど立派なこと。これは不器用な人類に対する希望でもあります。僕には真似できぬ。本来は強い人ではなかったろうに、晩年はアルツハイマー認知症とも勇敢に戦いました。本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。

 そうそう、東日本大震災直後で原発から漏れた放射線が東京へと流れてきた頃、突然父から京都へ戻らなくて良いのかと電話があって驚いたものです。後にも先にもあんなことは無かった。よほどに心配だったのでしょうねえ。

 葬儀だなんだでバタバタしてスケジュールが取られたものだから、来週予定していた北海道旅行をキャンセルしたぞ。おのれおのれー。