アレクセイ・アナトーリエヴィチの帰還

 ロシアの反体制活動家アレクセイ・ナワリヌイが療養していたドイツから帰国したところ、空港で拘束されました。当局の警戒ぶりはそれはもう大仰なもので、到着予定で支持者が集まっていた空港からわざわざ別の空港に着陸させ(モスクワには複数の国際空港があります)、空港の周囲は道路封鎖という御大層なもの。今後どうなるのか、これを書いているのは拘束された直後なのでよくわかりません。

 国際的に注目されていましたから、帰国するナワリヌイには多くのメディアが同行していました。僕はその中継を観ていたのですが、終始落ち着いたその姿がとにかく印象的で。自分はただの野次馬ではないかとの気後れもありつつ。しかし。
 過剰に陽気にふるまうでもなく神経質そうでもなく、ちょっと打ち合わせにでも行くか、ぐらいのさりげなさ。

 自分を毒殺しようとした政府が治める国への帰還。しかも逮捕されるであろうことは事前にわかっている。出される食事ももはや信用できません。いきなり命を奪うようなことは今の状況ではしないだろうけども、そう思わせておいてなにをするかわからんのが今のクレムリンです。
 活動家として実際のところどうなのか、思想信条は、など無条件に同意できるかどうかは保留です。しかし、彼が勇敢でないとは誰も言えますまい。あの姿は崇高でした。
 そして、今回の件はプーチン政権の盤石さではなくむしろ弱さを垣間見せたといえましょう。

 この日記、漫画家風情が何をいきなりとドン引く人もいるでしょうけど、本当に心打たれたんですよ。どうかご無事で。