お知らせモロモロ

 「楽園」春のweb増刊でショート読切り「ワルプルギス実行委員実行する」を描きました。季節ものです。というか今晩。面白いから読んでね。

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 特に意図したわけではないのだけど、この扉絵が「魔女TRPGルールブックのイラスト」ぽくなってお里が知れるというものです。おばあちゃん大集合絵、描いてて楽しゅうございました。

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 理想の乙女を求めて銀河をうろうろするスペースバラッド「男爵にふさわしい銀河旅行」、web無料公開分の更新がひさかたぶりに再開されました。このあとは毎月コンスタントに更新される……と思います。本編もいよいよ佳境ですし、よろしくですよ。

www.comicbunch.com

 倉田悠子による「くりいむレモン」のノベライズが星海社から続々再刊されてまして、このほど5月14日発売の『マイ・ソング 亜美それから』で解説を書きました。

 誰が。

 僕が。

 くりいむレモンの?

 いやいやいやいや、お話を頂いたとき腰を抜かしたのはこっちですがな。そらまあ80年代のオタクとして履修はしておりますが、コアなアニメファンでもないのに、えー! そんなわけで、解説というよりは単なる短い雑文になっておりますが、何卒よろしくお願い致します。

www.seikaisha.co.jp

 なんや告知ばっかりですね。時局がら日々が淡々としていて、ブログに書くようなことが少ないのですよ……いや、くりいむレモンの解説はびっくりだけども。なんかネタ探してもうちょっと更新頻度上げましょうね。

『大砲とスタンプ』完結御礼

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 しばらく経ちましたが兵站事務屋将校右往左往漫画『大砲とスタンプ』9巻が出ました。これにて完結です。
 おおむね10年、最初の担当編集と「9巻ぐらいですね」という心づもりでやってきましたからまさに目算通り……いやいや完走できたのも読者の皆さんあってのことで本当に幸運なことでした。あらためましてありがとうございます。
 僕もここまでの長期連載は初めてでしたから得るものはとても多かったです。狙い通りのことやままならぬことや、いやもうてんこもりです。

 9巻を、そしてこの機会に1巻からお読み頂いた方々から腰を抜かすほど多くのご感想を頂いておりまして、「いやいや、そんな、えー」と口走りながら拝見しています。めちゃめちゃ舞い上がってます。『大砲とスタンプ』はこれでおしまい、次の仕事に切り替え! とうそぶいたけれども、自分でも消化するのにまだもうちょっと時間がかかる気配ですよこれは。個別にお礼が言えませんが、重ねてありがとうございます。

 連載は終わっても物語はそこにあります。紙の本はちょっと入手しづらい巻もあるようですが、電子書籍は元気に販売中ですので今からでも是非是非よろしくお願いいたします。事務屋から見た戦争のお話。太鼓判を押す唯一無二の面白さだよ!

morning.kodansha.co.jp

 アニメ化しないかなー。

 あッ、でも尊敬する野村亮馬さんがマルチナの着せ替えアニメ作ってくださったんですよ。嬉しい!

https://matowbooks.tumblr.com/post/640876135611285504/2021%E5%B9%B41%E6%9C%8821%E6%97%A5%E3%81%AB%E9%80%9F%E6%B0%B4%E8%9E%BA%E6%97%8B%E4%BA%BA%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E8%91%97%E4%BD%9C-%E5%A4%A7%E7%A0%B2%E3%81%A8%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%97%E3%81%AE%E6%9C%80%E7%B5%82%E5%B7%BB%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%93%E3%82%8D%E3%81%AE%E7%AC%AC9%E5%B7%BB%E3%81%8C%E5%88%8A%E8%A1%8C%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6

matowbooks.tumblr.com


 ところで9巻につきましてお話には直接関係しませんが、わりと大きなミスがありました。
 以下の通りになります。

p250の2コマ目
×パパエフ
○コキリコ

アレクセイ・アナトーリエヴィチの帰還

 ロシアの反体制活動家アレクセイ・ナワリヌイが療養していたドイツから帰国したところ、空港で拘束されました。当局の警戒ぶりはそれはもう大仰なもので、到着予定で支持者が集まっていた空港からわざわざ別の空港に着陸させ(モスクワには複数の国際空港があります)、空港の周囲は道路封鎖という御大層なもの。今後どうなるのか、これを書いているのは拘束された直後なのでよくわかりません。

 国際的に注目されていましたから、帰国するナワリヌイには多くのメディアが同行していました。僕はその中継を観ていたのですが、終始落ち着いたその姿がとにかく印象的で。自分はただの野次馬ではないかとの気後れもありつつ。しかし。
 過剰に陽気にふるまうでもなく神経質そうでもなく、ちょっと打ち合わせにでも行くか、ぐらいのさりげなさ。

 自分を毒殺しようとした政府が治める国への帰還。しかも逮捕されるであろうことは事前にわかっている。出される食事ももはや信用できません。いきなり命を奪うようなことは今の状況ではしないだろうけども、そう思わせておいてなにをするかわからんのが今のクレムリンです。
 活動家として実際のところどうなのか、思想信条は、など無条件に同意できるかどうかは保留です。しかし、彼が勇敢でないとは誰も言えますまい。あの姿は崇高でした。
 そして、今回の件はプーチン政権の盤石さではなくむしろ弱さを垣間見せたといえましょう。

 この日記、漫画家風情が何をいきなりとドン引く人もいるでしょうけど、本当に心打たれたんですよ。どうかご無事で。

ゲームは人生を変えることがある

 鈴木銀一郎さんが亡くなりました。
 「モンスターメーカー」シリーズの生みの親というのがいちばん通じやすいでしょうか。
 プロのゲームデザイナーであること、デベロップのセンス、多彩なキャリアや暖かで観察力に優れたその人柄、なにより本気でゲーマーであること……といったことを語るには僕よりはるかにふさわしい方が何人もおられるので、ここではくどくど述べますまい。

 僕がはじめて遊んだウォーゲーム(ボードシミュレーションゲーム)はエポック社の「砂漠の狐」です。小学校5年生の誕生日プレゼントでした。兄からこれを買ってもらえと勧められたのです。
 それまでもモノポリーなどボードゲームをよく遊んでいましたが、これはそれらとは違うなにかすごいものだ、と興奮したことを覚えています。高級感というか背伸び感というか。ゲームの箱に入っていたチラシに「小学5、6年生ならできる!」といったことが書かれていたのも嬉しかったですね。子供向けという意味ではないのです。

 「砂漠の狐」は第二次大戦の北アフリカでの戦いを扱ったゲームで、シンプルながら実に面白い。兄は中学生でしたから思考能力の差は歴然たるもので、連戦連敗でしたが。
 この出会いで僕はウォーゲームをちょこちょこ遊ぶようになり、雑誌を読み、TRPGを知り、ゲーマーになり、漫画にウォーゲームやTRPGのエッセンスを無意識に放り込むようになり、あまつさえゲームの仕事も頂いて今に至るわけで、文字通り人生を変えたゲームなのです。ここまで引っ張った僕に対し、兄はその後あっさりゲームに興味をなくしましたが、まあそんなものです。
 この「砂漠の狐」のデザイナーが鈴木銀一郎さんだったのですね。ここまで書いて違ったらえらいことだ。人生変えて頂きましたよ。


 とはいえ書いておかねば誠意に欠けることもありまして……。
 鈴木銀一郎さんの晩年、世界に対する視線や解釈がどうも雑に過ぎると感じることが多々ありました。解釈は人それぞれで致し方ないとはいえ、おそらく情報の仕入先がひどい。人や国際情勢を扱うゲームデザイナーにして、相当に危ういことなのではないか。銀一郎先生にしてそのようなことがあるのか、自分もそうなりやしないか、じゅうじゅうに我が事を用心せねばと心に留め置きました。
 追悼の日記に書くことではないかもしれませんが、人は完璧ではありませんし、それで功績が損なわれることもないでしょう。

 自伝的な名エッセイ『ゲーム的人生論』の表紙を描かせて頂いたことはこのうえない栄誉です。えッ品切れ、勿体ない。
 酒席をご一緒させていただいたときには、その細やかなお気遣いに感銘を受けました。
 お疲れ様でした。本当にありがとうございました。

www.shinkigensha.co.jp

正統派でジェレミー・ブレットに太刀打ちするのは難しい

 今日はシャーロック・ホームズの誕生日なんだそうですよ。
 そんなわけで、僕がホームズの漫画描くとしたらこんな感じかしらというラクガキ。
 作中でメガネをかけていないとは書いていない(筈)という「裏世界ピクニック」理論(主人公の空魚はメガネをかけている描写は無いのですが、メガネつきのキャラデザインになってすっかり板についてしまっているのです)と、あとロシア版ホームズが好きなので。
 実のところ、ワトソンの方がデザインに悩みそうです。ホームズもの、一度は描きたいな。

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謹賀新年

 あけましておめでとうございます。本年もご贔屓によろしくお願いいたします。
 実家とはZOOMで新年の挨拶をしました。文明!

 年賀絵はインダス文明の土器に描かれた絵がモチーフでして、愛知県陶磁美術館の展示で心を鷲掴みにされました。点数自体は多くないのだけど、多くないのにどれも素晴らしい。素晴らしいといえば愛知県陶磁美術館自体も立派な施設でした。ちょっと前に「YAYOI・モダンデザイン ―ニッポンの美、ここに始まる」目当てで行ったのですが、企画展のみならず常設展が圧巻。さすが愛知。あんな充実した美術館を今まで知らなかったとは! とはいえ、ミュージアムショップは最近無くなったらしいしレストランもなんだかうら寂しかったし、厳しいのですかねえ。

www.pref.aichi.jp



 1月3日、TOKYO MX1で「プリンセス・プリンシパルTVシリーズが全話一挙放送されます。12:00~18:00です。劇場版の第一章がいよいよ2月ですもんね! スチームパンク・スパイ女学生アクションアニメ、未見という方は面白いのでこの機会に是非是非よろしく。


 アニメといえば「裏世界ピクニック」も4日がいよいよ第1話です。僕が関わっているわけではないですが、原作が友人の宮澤伊織さんだし面白いし、観てね観てね。

www.othersidepicnic.com

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このままで済むと思うなよ

 うわーもう年の瀬だーと言っておりましたら大晦日です。おそろしいですね。
 例年わりと勤勉に帰省しておりまして、ちゃんと一家そろっていたのですがこのご時世でこの年末年始は東京におります。じんわりとしょんぼりします。仕事は納まっていません。大変だ。年明けても『ミセス・ノイズィ』やってるかしらん。NHKドラマの岸辺露伴はたいそう良かったですね! 『スパイの妻』といい、今年は最高の高橋一生が続けて観れて満足です。
 あまり振り返ろうという気がしない2020年なのは、流行り病が一段落するどころかますます猖獗を極める状況だからでしょう。野次馬根性むき出しで云うならば、当分覚えている年になるとは思います。

 ここんとこずっと年2冊ペースで単行本出せていたのに、今年はいろいろあって出せずじまい。あーあー。干されたとかそういうわけではありませんのでご安心ください。仕事自体はありがたいことにたくさん頂いております。単行本も来年は挽回できるはず。

 掲載からちょっと経ちましたが「楽園」のweb増刊で読み切りショート「墓が戦車でやってくる」を描きました。見てね見てね。典型的ワンアイデア漫画だけど面白いですよ。

hakusensha.tameshiyo.me



 第二次大戦の独ソ戦に従軍した、かつてのソ連軍女性兵士たちのインタビュー集、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』の小梅けいとさんによるコミック版2巻が出ています。僕もちょっとお手伝いしています。
 2巻は女性兵士がどう思われていたか、また自らの体験を語ること、訊くことについて踏み込んでいきます。1巻に引き続き、よろしくお願いいたします。

www.kadokawa.co.jp



 それでは、本年も本当にお世話になりました。皆様どうぞ良いお年をお迎えください。良い年にしますよ。しますともさ。

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