ライバルは海老フライだよ

デューラー ネーデルラント旅日記』

 Johnny-Tさんのご紹介で興味をそそられたので購入。タイトル通り、デューラーネーデルラントに旅したときの日記なのです。内容は実に事務的で、詳細に旅行費用がメモされているのですがこれが面白い。登場する通貨だけでグルデン、ポンド、ペニッヒ、ヴァイスペニッヒ、ヘラー、フランクフルト・ヘラー、フランクフルト・ペニッヒ、シュトゥーバー、オルト、フィリップス・グルデン、シュレヒター・グルデン、アングロット……まだまだあるよ! 勿論、当時の通貨がてんでばらばらだったことは知識として知ってはいますが、実際に旅するとこりゃ大変だ。あと、16世紀ネーデルラントの物価がわかるのも面白いです。宿代に税金、ローストチキンに散髪代から護衛の料金、自分が描いた肖像画。しかし結構博打もしてるなこのおっさん。ファンタジーRPGのワールドガイド気分で読めますよ。

『日本三文オペラ

 開高健強化キャンペーン開始。昭和30年代、大阪造兵廠の焼跡から金属類を盗掘して生きる「アパッチ族」と呼ばれた人々の話。猥雑で生命力みなぎる面々と、すさまじい貧困の情景に圧倒されます。たとえば集落から焼跡に行くには運河を渡らねばならないのだけど、その汚さの描写が実にもって濃密でえげつなくて。ヘドロ、化学薬品、人糞、なにかの死骸。河川の浄化などという概念ができる前の話。古き良き昭和など存在しないのよ。取締りが厳しくなり、アパッチたちが別れ別れになっていく終盤が切ないです。今となってはファンタジーのような感すらある世界なので(我々の世界と地続きであることを忘れてはダメなのだけどね)、SFとして読むことも可能かも。やー傑作の名に恥じぬ面白さでした。身内だと、斎藤くんが好きそう(「相対的価値維持課」とか)。アパッチつながりで梁石日の『夜を賭けて』も買ったり(映画は面白いのかしら)。サタスペにはアパッチネタを入れるべきだったなぁ。

ぼくはくま

 「みんなのうた」で宇田多ヒカルが歌っていた奴です。一昨年のものを今さら買いました。や、もともと大好きな歌なんですよ。人形アニメもたまらぬかわいさだし。子供が聴く「みんなのうた」なのに、徹底したインドア系なのもオタクにやさしくて良いのです。で、最近再放送で流れてまして、ぎゃあやっぱりカワイイとのたうちまわったのち調べてみるとDVD付きだというので発作的に購入。このアニメ、どーもくんやこまねこと同じ人が作ってるのかしら。

デューラー ネーデルラント旅日記 (岩波文庫)

デューラー ネーデルラント旅日記 (岩波文庫)

日本三文オペラ (新潮文庫)

日本三文オペラ (新潮文庫)

ぼくはくま(DVD付)

ぼくはくま(DVD付)