シャーロック・ホームズ

 ツンデレ同士のコンビというのはめんどくさいわい(定番でもありますが)! 真面目なシャーロッキアンは怒るかも……という評判も聞きましたが、むしろシャーロッキアンに随分配慮した随分真面目なホームズ映画でした。アリですアリです。謎や事件そのものはえらくショボイけど、あまり期待していなかったので問題ないです。そして一番美味しい登場人物は「教授」でありましょう。多くの作家にとって、ホームズ自身より愛されているキャラじゃないかしらん。続編作る気満々ですよね。あと無闇に盛り上げてくれる音楽だなと思ったらハンス・ジマー先生でした。サントラ買ってもいいかもです。

『世界の歴史 近代イスラームの挑戦』(山内昌之

 新刊ではないですが、未読だったことに気がつきまして。19世紀以降、改革に乗り出しつつも衰退と植民地化に向かうオスマン帝国やペルシア、トルキスタンというイスラーム圏を扱った一冊。この中公世界の歴史シリーズは著者の主観を大胆に取り入れているのが特徴で、この本では特に山内節ともいうべきものがほとばしっていて実に愉快です。衰えゆく帝国への悲憤慷慨、そして無能な君主をこれでもかと罵倒。ええと歴史の本ですよねこれ。なにかといえばオスマン帝国などと比較して明治日本を持ち上げるのが鼻につきますが、なにせ内閣官房美しい国づくり」企画会議座長代理なるものを勤めた人なので仕方ないです。いや面白い本たくさん出している人なのですよ。ロシア領のムスリムについて記述が多いのも山内さんらしいかしら。しかし、衰退期の帝国というのはなんともいえない魅力があります。滅びの美学とはまた違うのですよ。この本で取り上げられている時期のオスマン帝国や末期ローマ帝国(『背教者ユリアヌス』の面白いこと!)、ペレストロイカソ連にも共通するかもしれません。でもローマはその後うまく変貌を遂げながら1453年まで生き延びているわけで、ビザンツは別物と考えるのはよろしくないですね。

世界の傑作機 WWll ヤコヴレフ戦闘機』

 登場した時こそいまひとつパッとしない戦闘機だったものの、大戦を通じて営々と改良が続けられ、最後にはドイツ機を圧倒した名機です。一見旧式の構造も金属材料を節約し、また生産しやすくするために考えられたもの。操縦席には人工水平儀すら無い簡素さは、徹底的に目的のため割り切ったこれぞ「兵器」。東部戦線の航空戦は戦線のすぐ背後から(砲火にさらされることすらある!)短距離を日に何度も行き交う、零戦などの戦いぶりとはまったく次元を異にしていて興味深いのです。あの『出撃! 魔女飛行隊』の内容は信頼できない点も多いという記事もありました。復刊されたときひさしぶりに読んでみて、そんな気配もするなぁとはぼんやり感じていたのは確かです。パウル・カレルと共通する空気というか、わかりやすく盛り上がるんですよね。いや、そういう軍事講談も必要なのは桂さんがコマンドマガジンで書いてはった通りなのです。さておき次はラーヴォチキンを是非! そしてPo-2まで!

『私立RPGハイスクール』(こいでたく

 こいでさんの絵はシンプルなのに色気充分で、ううん真似したいなー。

WW2ヤコヴレフ戦闘機 (世界の傑作機 NO. 138)

WW2ヤコヴレフ戦闘機 (世界の傑作機 NO. 138)

私立RPGハイスクール

私立RPGハイスクール