『スカイ・クロラ』
明日が学園祭でないビューティフルドリーマーはおっかないのう。押井が若者向けに作ったというのも、言いたいことはわかったという感じ。さてさて、僕はミリオタの端くれなので、やはり空戦が気になってしまいます。ここは実に驚くべき作品でした。ここまで起伏のない、つまらない映画での空戦というものを観たことがありません(正確にはあるけど、そういうのは単に気合いも入ってないので)。解放感や壮快感、アドレナリンを感じさせるようなものは皆無。逆に、恐怖や孤独や陰鬱さのようなものも無し。空っぽ。これほど何も訴えかけてくるものが感じられなかった空戦や飛翔や空というものは大変珍しいです。ここで金返せと言ってもいいのだけど、しかし映画の主題からすると、この起伏のない……「夢の中のような」空戦というものはまさしく正しいものなのですね。なにせIGが気合いを入れて作っているのですから、もっと鳥肌の立つような空戦は撮れたはずです。やはり意図して作っているのでしょうか。技術を駆使して無感動な空戦を撮るというのは、これは贅沢ですごいことな気がします。
『ダークナイト』
こちらは文句無しに面白かったです。ゴッサムシティ全域の電話を盗聴するシステムをめぐってのやりとりなど、911後ということを念頭に置いているのでしょうね。そんなことより、ジョーカーが素晴らしい。ジョーカーが主役……とも思ったけど、このジョーカーは素性が一切不明で、キャラクターとして必要なかなりの要素が削ぎ落とされています。世界の悪意の象徴とでも言いましょうか。そらそうと、物理的には圧倒的に強いバットマンにジョーカーは知恵と勇気、もとい狂気と悪意だけを頼りに身ひとつで立ち向かうわけで、どうもジョーカーの方を応援したくなって困ります。
『モスクワ攻防1941 戦時下の都市と住民』(ロドリク・ブレースウェート)
タイトルだけで買ってしまいました。絶対面白いに決まっています。いやあ読むのが楽しみだ……。モスクワ戦だと、やはり革命記念日のパレードが男泣きで大好きなエピソードです。最近、WW2のソ連についていい本が結構な頻度で出ていて実にもって嬉しい限り。それでもWW2を扱った国産フィクションといえば日本軍とドイツ軍人気が圧倒的で、ロシア側に焦点を当てた作品がきわめて少ないのは本当に淋しいのですけどね。
- 作者: ロドリクブレースウェート,Rodric Quentin Braithwaite,川上洸
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2008/08
- メディア: 単行本
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