『世界の歴史18 ラテンアメリカ文明の興亡』(高橋均、網野徹哉)

 植民地時代から20世紀初頭にかけてのラテンアメリカはとんと疎かったので大変興味深かったです。独立直後の国家形成期におけるブラジルやアルゼンチンの迷走とか。17世紀のペルーには日本人も住んでいたそうですよ。文庫版のあとがきは『母をたずねて三千里』と絡めた文章で、丹念な取材と作劇上の改変についてすこぶる好意的に書かれていたのが面白かったです。「鉄道開通以前にアルゼンチンの海岸と内陸を結ぶ唯一の輸送手段であったカレタと呼ばれるこの牛車を、とにかく動画にして見せてくれただけで、私などはもう絶対年代など犬に喰わせろである」この気持ち、わかるわかる!

世界の歴史18 - ラテンアメリカ文明の興亡 (中公文庫)

世界の歴史18 - ラテンアメリカ文明の興亡 (中公文庫)