3週間でいろいろ買ったので、なかからとりあえずひとつだけ。

fellows!」Vol.1

 森薫さんの新連載目当てでとにもかくにも購入した新雑誌。その新連載「乙嫁語り」はカスピ海周辺の地方都市、テュルク系の羊飼い一家に嫁入りした娘さんの話です。山があるのでカフカースの方でしょう。それともカスピ海南岸のペルシア領で皆さんアゼル人なのかな? 新郎カルルク12歳、新婦アミル20歳の姉さん女房。民族衣装! 馬! 弓! 少年少女! と、『エマ』と舞台は違えど森薫さんならではの「これが好きなんだパワー」がビンビン感じられるのびのびした作品なのです。あと、相変わらず表情の機微が素敵。特筆すべきは、以前にも増して伸びやかな線のくせに書き込みの密度もどんどん上がっていることで、どえらい絵描きなのですね本当に。そうそう、時代設定は19世紀なのだそうです。研究者らしい、西洋人の青年も登場しています。時期的には連載途中でロシア軍がやって来かねない頃ではありますね。マルチゲーム「パックスブリタニカ」を連想しちまうのは致し方ありますまい。
 この「fellows!」、大学マン研の後輩であるところの福島久美子さんがデビューしていて驚きました。世の中ソード&ソーサリーとファンタジーは同一視して捉えられがちですが、変てこなファンタジーをちゃんと描ける人です。見てね見てね。どうでもいいツッコミをするならば、翼竜は恐竜ではありませんのだ。あとフナがたいそうかわいかったです。
 しかしなんだ、COMICリュウとならんでコミティア出身作家が多いような気が。

Fellows! 2008-OCTOBER volume 1 (BEAM COMIX)

Fellows! 2008-OCTOBER volume 1 (BEAM COMIX)