『悲劇週間』

 だいぶ前に桂さんに勧めてもらったのですが、ようやく読みました。もっと早く読むべきだったと思いつつ、一方でもっと長くじっくりつきあいたかった! なぜ小説には終わりがあるんでしょうね。主人公は若き日の堀口大学。外交官である父の赴任地、メキシコに旅立ちますが、かの地はおりしもメキシコ革命の真っ最中。そして大学はマデロ大統領の姪フエセラと恋に落ち……という物語。アウトラインは史実に沿っているというからすごい人だのう。矢作俊彦は『ららら科學の子』で、もと学生運動の活動家である初老の男を描きましたが、今回は一転してなんとも切ない青春小説です。全編印象的な情景だらけなのですが、死者の祭りで盛り上がる酒場でパンチョ・ビリャと邂逅するくだりは実に鮮烈でした。思わず棚を探してラ・クカラチャをかけたぐらいです。フエセラが褐色肌娘というのがまた僕の萌えなのだけどそんなことはまあどうでもいいか。傑作です。お薦めです。マスト読め。まだ余韻が残っているので『残虐行為記録保管所』に取りかかれない有様だったり。

悲劇週間

悲劇週間