『末期ローマ帝国

 以前から、帝政ローマの末期には興味があるのです。辻邦生の『背教者ユリアヌス』スキーだし、十字架を押し立てたローマ軍団という絵はなかなか格好良いし。当時のローマ兵はいわゆるローマ軍団でイメージする板金鎧じゃじゃないんだけどね。
 末期ローマ帝国は、おおまかに言って284年に即位したディオクレティアヌス帝から476年の西ローマ帝国の滅亡までとなります。末期といってもこの間ほぼ200年。えらく長い末期です。当時暮らしている人からすれば、末期なんて感慨はなかったでしょう。ローマといえば共和制末期や五賢帝時代が人気だけど、末期も捨てたものじゃないと思いますよ。蛮族の侵入やキリスト教の普及、それに対応していかに帝国を改革してその命を長らえさせるか……。なにかといえば皇帝が暗殺されたり廃位されたりしてややこしいのが弱点なのかしら。コンスタンティヌスというとてつもないおっさんがいるのだけど。
 この本はその200年間をまとめた一冊で、政治体制から宗教、文化、経済まで一応網羅してくれています。でも帯に短し襷に長し、な印象を持っちゃうのはそれだけダイナミックな時代ということなんだろうなぁ。

末期ローマ帝国 (文庫クセジュ 602)

末期ローマ帝国 (文庫クセジュ 602)