栗本薫

 闘病生活が長かったので、驚きはありませんでしたが寂しいものです。なにがあっても死なないようなふてぶてしいおばちゃんというイメージでしたから。いろいろ妙ちきりんな言動もありましたが、それは頭の回転が早いド天然にはままあることではないでしょうか。もっとまともな人だったら、作品も比例してつまらなくなっていたような気がします(この辺、松本零士も同じ人種じゃないかな)。
 実のところファンというほど読んではいません。グインも離れて久しいです。しかし、グインの初期外伝『七人の魔道師』『イリスの石』『ヴァラキアの少年』あたりは好きで好きでたまりません(今でもときどき読み返しています)。国産剣と魔法作品ではトップクラスですよ。おかげで「魔道師」という表記が一番格好いいのだと妄信し、「魔道士」や「魔導師」は鼻にもかけないといった有様。
 早すぎた死だとは思いますが、自分の世界と妄想をここまで奔放に世に出し続けたというのは実に格好いいです。グインの新刊が並ばなくなる書店はちょっと想像しづらいですね。おつかれさまでした。ありがとうございます。