買
角幡唯介『アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』
読
野村亮馬『インコンニウスの城砦』
★★★★★ 異世界にひたる快感。突き放しつつ優しい目線。『ベントラーベントラー』『キヌ六』と描き方を変えてくる凝り性。こういうの大好きだし描きたいし、でも僕には描けないんだろうなあ悔しい面白い! 電書のみなのはなんとしても勿体無い。
角幡唯介『アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』
野村亮馬『インコンニウスの城砦』
★★★★★ 異世界にひたる快感。突き放しつつ優しい目線。『ベントラーベントラー』『キヌ六』と描き方を変えてくる凝り性。こういうの大好きだし描きたいし、でも僕には描けないんだろうなあ悔しい面白い! 電書のみなのはなんとしても勿体無い。
とうとうこの日が来てしまった。フィデル・カストロが亡くなりました。90歳。そろそろであろうな、とは思っていたので驚きはないですし、大往生でしょうジャージのおじいちゃん。しかし、英雄はついに去ってしまいました。
英雄。フィデルを評するのに、いちばんふさわしい言葉です
良い政治家だったでしょうか?
政治家としては疑問符がつくでしょう。経済政策は失敗し、多数の国民を海の向こうに追いやり、政治犯を獄につなげた。アンゴラで戦争もした。漫画家が仕事するのは大変そう。とはいえ、あえていうならばそういうものです。英雄とははた迷惑なものです。
日本という地球の裏側から眺めるから、彼のことが尊敬できるのでしょうか?
確かにそうかもしれません。
しかし。
しかしだ。
弱きを助け強きを挫くことを己の信条とした男。キューバをこよなく愛した男。常に強大な敵に立ち向かってきた男。革命を追って国を出たチェに対し、残って権力の舵取りを続けることを選んだ男。おおいに怒り、おおいに笑い、おおいに悲しむ男。
一代の英傑。
本来ならば、18世紀あたりが似つかわしい男。
野球好きはつとに知られておりました。また、ユーモアを忘れなかった人物です。
ワールド・ベースボール・クラシックのキューバ戦について「国中でテレビを見たから停電になりそうだった」と評した人です。
武装闘争時代の評伝を差し入れられた際「ノスタルジア!」とだけ口にして興味を持たなかったなど。
好きなエピソードを挙げていけばきりがないのですが。
「私はマルクスやエンゲルスやレーニンと一緒に地獄に落ちるだろう。地獄の熱さなど、実現することのない理想を持ち続けた苦痛に較べれば何でもない」
いかにも。コマンダンテ・フィデル・アレハンドロ・カストロ・ルスには天国より地獄の方がはるかに向いています。それだけのことをしてきたし、だいたい天国の平安に我慢などできますまい。地獄の亡者を率い、意気揚々と革命のため戦いにおもむくことでしょう。
果たして理想が実現することはないかな? いやあ、まだわかりませんよ。がんばりますよ。