安村仁志『ロシアのシベリア進出史』

羽根田治『トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか』

池田嘉郎『ロシア革命 破局の8か月』

松戸清裕ソ連という実験 国家が管理する民主主義は可能か』

一條裕子『貂の家』

鈴木健也『おしえて! ギャル子ちゃん』4

REM『Devil's Candy』1,2

 

池田嘉郎『ロシア革命 破局の8か月』

晴れ

角幡唯介『アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』

野村亮馬『インコンニウスの城砦』

★★★★★ 異世界にひたる快感。突き放しつつ優しい目線。『ベントラーベントラー』『キヌ六』と描き方を変えてくる凝り性。こういうの大好きだし描きたいし、でも僕には描けないんだろうなあ悔しい面白い! 電書のみなのはなんとしても勿体無い。

晴れ

角幡唯介『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』『雪男は向こうからやって来た』

野村亮馬『インコンニウスの城砦』

森薫乙嫁語り』9

★★★★★ なんたる豊穣な漫画! どうやればこんな作品が描けるのでしょう。官能的な線。ウズベキスタンへ一度行ったので読む目が変わりました。

 

 

【Epitaph】フィデル・アレハンドロ・カストロ・ルス

 とうとうこの日が来てしまった。フィデル・カストロが亡くなりました。90歳。そろそろであろうな、とは思っていたので驚きはないですし、大往生でしょうジャージのおじいちゃん。しかし、英雄はついに去ってしまいました。
 英雄。フィデルを評するのに、いちばんふさわしい言葉です


 良い政治家だったでしょうか?
 政治家としては疑問符がつくでしょう。経済政策は失敗し、多数の国民を海の向こうに追いやり、政治犯を獄につなげた。アンゴラで戦争もした。漫画家が仕事するのは大変そう。とはいえ、あえていうならばそういうものです。英雄とははた迷惑なものです。
 日本という地球の裏側から眺めるから、彼のことが尊敬できるのでしょうか?
 確かにそうかもしれません。
 しかし。
 しかしだ。


 弱きを助け強きを挫くことを己の信条とした男。キューバをこよなく愛した男。常に強大な敵に立ち向かってきた男。革命を追って国を出たチェに対し、残って権力の舵取りを続けることを選んだ男。おおいに怒り、おおいに笑い、おおいに悲しむ男。
 一代の英傑。
 本来ならば、18世紀あたりが似つかわしい男。


 野球好きはつとに知られておりました。また、ユーモアを忘れなかった人物です。
 ワールド・ベースボール・クラシックキューバ戦について「国中でテレビを見たから停電になりそうだった」と評した人です。
 武装闘争時代の評伝を差し入れられた際「ノスタルジア!」とだけ口にして興味を持たなかったなど。
 好きなエピソードを挙げていけばきりがないのですが。


 「私はマルクスエンゲルスレーニンと一緒に地獄に落ちるだろう。地獄の熱さなど、実現することのない理想を持ち続けた苦痛に較べれば何でもない」
 いかにも。コマンダンテフィデル・アレハンドロ・カストロ・ルスには天国より地獄の方がはるかに向いています。それだけのことをしてきたし、だいたい天国の平安に我慢などできますまい。地獄の亡者を率い、意気揚々と革命のため戦いにおもむくことでしょう。
 果たして理想が実現することはないかな? いやあ、まだわかりませんよ。がんばりますよ。


カストロ

カストロ

フィデル・カストロ――みずから語る革命家人生(上)

フィデル・カストロ――みずから語る革命家人生(上)

フィデル・カストロ――みずから語る革命家人生(下)

フィデル・カストロ――みずから語る革命家人生(下)

生頼範義(「頼」は正確には違うのですが、はてなで表示されませんでした)

  • Facebookの生頼範義ページで、その作品群を紹介していましてあらためてその仕事量に圧倒されます。「え、これも生頼さんの仕事だったの!?」と驚くものもあり。Twitterでマイフェイバリットな生頼作品が多く挙げられていましたが、小説に映画にゲームに……とてんでんばらばらで、そしてどの絵もマイフェイバリットさもあろうというものばかり。とんでもないことです。「表紙やポスターが本編より面白そう」と枕詞のように評されるイラストレーターはそうそう出てこないでしょう。
  • 緑色の宇宙、ギラギラした男女、ドラマを演出する群像……など生頼作品の魅力を挙げていけばきりがありません。そんななかで僕がいちばん好きな絵を無理矢理ひとつ挙げるならば『女王陛下のユリシーズ号』の表紙になります。クライマックスを見てきたかのような筆致。損傷をこれでもかと強調する後ろ姿。敵ヒッパー級重巡とぶち当たることを確信させる構図。陰鬱な北大西洋の空で輝く照明弾。落ちたら死を意味する凍えた暗い海。その深淵をかきまわすスクリューと航跡。目を奪うホワイトエンサイン。完璧。
  • 僕を形作っているものの少なくない部分は生頼さんに与えられたものです。おつかれさまでした。本当にありがとうございました。
  • 去年、今年と宮崎で生頼範義展をやってまして、僕も観に行っては腰を抜かして帰ってきています。来年も開催されるそうですし、是非是非行きましょう。宮崎もいい街ですよ。