『薔薇とサーベル』(赤城毅

 なんとナポレオニックの冒険活劇小説ですよ! 物語はナポレオン退位後のウィーン会議から始まります。しかも主人公はプロイセンの青年士官というあたりが趣味的というか変化球です。プロイセン将校といえばどうにも無骨な偏見がありますが、このエドゥアルト・リスマイヤー軽騎兵大尉は美形で剣と恋愛の腕は超一流という、リチャード・シャープと出会ったら馬が合いそうにないスマートな男。でも目立たないとはいえ口ひげをたくわえている描写があるのは、作者赤城毅さんのこの時代へのこだわりのようなものが見てとれます。黒色火薬の硝煙たちこめるというよりは、剣戟で華麗に立ち回るスワッシュバックラーもの。続編を出す気満々のお話なので、これは皆さん応援すべきですぞ! そしてこのいけ好かない主人公をギタンギタンに(えー)!

薔薇とサーベル ナポレオン戦争秘史 (朝日ノベルズ)

薔薇とサーベル ナポレオン戦争秘史 (朝日ノベルズ)