- 「有頂天家族」は相変わらずとても良い、良いですぞ。「捲土重来!」のシーンは原作を読んだ頃から「ここはアニメで観たいなー」と思っていたので満足満足。いやもっとケレン味のある見せ方のほうが嬉しかったけど海星がかわいいので良しとしようじゃないか、そうとも!
『パシフィック・リム』
ロボと怪獣がどつきあう映画。愉快愉快。ロン・パールマン楽しそう。でもネットで人気のロシア機チェルノ・アルファがあっさり倒されていて驚愕。そこは強そうな演出を一回やって持ち上げてから倒されるのがスジでしょう! あと予想外に真面目な映画でしたね。オタクは自分の好きなものをネタにするときは往々にして妙に真面目になるもので、ちょっとそんな気がしました。『バトルシップ』の突き抜けたアホらしさのほうが好きかな。
『ベルリンファイル』
現代のベルリン、金正恩体制のもとで再編が図られる北朝鮮諜報網。そのなかで妻とともに活動する工作員だが、誰が敵なのか、どんな陰謀が進んでいるのか錯綜するエスピオナージュ・アクション。非情で裏を読み合うスパイものの醍醐味と、娯楽アクションの気持よさをうまく融合させたいい作品でした。うまいなあ。
『タイピスト!』
1950年代のフランスを舞台に、ドジっ娘秘書の主人公がタイピングの大会と恋に奔走する物語。ちょっと脚本が整理されてないかな? とか、タイプライター勝負はもっとねちっこくバカバカしくてもいいのよ! とかありますが、いやあその辺を押し流すほどに主人公がキュートでたまらぬ。50年代の事務機器(いうまでもなく特にタイプライター)がたまらぬ。主人公に立ちふさがるタイプライター大会のチャンピオンたちがたまらぬ。眼鏡も多い。『風立ちぬ』なみに煙草ふかしてる。クルマ! スーツ男! ちょうかっこいいオープニングクレジット! 画面から立ち上るフェティシズム! マスト観るべきです。
『悪いやつら』
1980年代の韓国、釜山。ヤクザになりきれないまま人脈と機転で極道社会を生き抜く男の話。良かった、すごく面白い映画でした。とにかく登場人物が皆クズでドラマが濃厚で魅力的です。コネだけが武器の主人公がうまく立ちまわるところは痛快でもあり、でも基本的には後先考えない愚かな性格で親近感がわきます。脇役に至るまで本当にいい顔をしていて素敵。銃撃戦などの派手なアクションはないですが、でも全編に漂う緊張感と暴力。敵役の検事が買収などに応じない、ときに暴走する正義派という普通に考えるとイーストウッド的いい男が演じそうなポジションなのにメガネのデブで、しかもそれがふてぶてしくて本当にかっこいい。これまたマスト観るべきです。この夏は『タイピスト!』と『悪いやつら』とノーチェックだったのにすこぶる面白い映画に二本出会えたので満足(『風立ちぬ』は最初から期待してたしね)。繰り返しますがどちらもマスト観ましょう。
- 次は『許されざる者』『ウルヴァリン:SAMURAI』だな。あと『地獄でなぜ悪い』はマスト。『ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区』も忘れまいぞ。
- たまたま最終回の再放送を観たNHKのドラマ「夫婦善哉」がすごく良かったのですよ。主役が尾野真千子と森山未來で(どちらもべらぼうに上手い!)、脚本が藤本有紀。しっとりした面白さ、色気のある絵。あいやー最初から観とけばよかったのだわ。時代設定のせいもあって、尾野真千子がいつ洋裁店を始めるか気になって仕方ありませんでした。
- 森山未來のタバコを吸う所作がえらく自然で色気があっていいな、と思っていたらかなりこだわりのあるスモーカーだったのですね。「僕は煙草を吸うので、映画でもドラマでも、吸う設定であれば何とか煙草を映りこませようとしています(笑)。」て!
『島田清次郎 誰にも愛されなかった男』(風野春樹)
大正時代に若くしてベストセラー小説を書き、その後迷走の挙句心を病み精神病院で死を迎えた作家、島田清次郎の伝奇。今ならラノベ作家になっていたかもしれない、当時の若者に熱烈に支持された人なのだそうです。そうです、というのはその代表作『地上』などを読んだことがないので……でも天才肌で傲岸不遜狷介不羈、著者も中二病と評するその性格はネットの普及した今なら確かに「あ、いるいる知ってる」というもの。それだけに現代と地続きで読めました。かわいいところもあるけど痛々しいのう。
『昭和天皇の終戦史』(吉田裕)
なによりまず皇室……いや天皇のサバイバルのため奔走する昭和天皇と宮中の姿は「国民のため云々」などというお題目を超えた気迫があって面白いです。生き残るためなら成り上がりの右翼とだって手を組むことを厭わないたくましさ、ふてぶてしさ。ダメな人と切り捨てられることが多い近衛文麿の評価が高いのも興味深いところでした。
『ベラルーシ 境界領域の歴史学』(早坂眞理)
ポーランドとリトアニアとロシアに挟まれ、境界も定かではなくベラルーシ語は「農民の言葉」として蔑まれ、苦労して民族意識を高めてきた地域の解説。未だに苦労しています。やはり民族という概念はややこしい。ベラルーシの守護聖女、ポロツクのエヴフロシニヤについては恥ずかしながらよく知らなかったので目ウロコでした。実在の人物で、かなり面白そうな経歴の人。国宝であるエヴフロシニヤの十字架も伝奇アイテムだなあ。
『インセイン』(河嶋陶一朗)
「マルチジャンル・ホラーRPG」と銘打った恐怖と狂気のRPG。サイコロ・フィクションシリーズの一冊ということで例によってリプレイと合本になっております。実録系怪談風味のこのリプレイがまた面白い。リプレイ担当の魚蹴さんはこういうのがお好きなだけあっていろいろうまいなあー。遊びたくなりましたよ。
『キルデスビジネス』(斎藤高吉)
もうひとつ出たサイコロ・フィクションシリーズ、こちらは「リアリティショーRPG」ということで、悪魔に願いを叶えてもらうため地獄のリアリティ番組に出ることになったダメなPCたちが我欲むき出しで争うRPG。なにをしたいか、させたいかのためにコンセプトを突き詰めた好ゲームです。キャラがすぐ思いつくのでこれまた遊びたい!
『百舌谷さん逆上する』10巻(篠房六郎)
ああーッ、しっかり見事に終わりました、感服! 視点が交錯する複雑な話なので、1巻から通して読み返したいです。疲れそうだけど。高校生編も読みたかったなー。あと伊藤計劃さんが関わった話がとうとう終わったという点でも、ひとつの区切りとなるのかもしれません。
『ナポレオン 覇道進撃』(長谷川哲也)
トラファルガー海戦です、盛り上がる盛り上がる。テンションがずっと落ちないというのは相変わらずものすごいことですね。それどころかいっとき荒れていた絵がまた緻密になってきた感があります。ひとつ気になるところを挙げるなら、ここのところナポレオンがキャラというよりは現象のようになっていて、ちょっと寂しいですね。他の登場人物が容赦なくバカっぽく生き生きしているのに対して、偶像化しているというか……ロクデナシのボナパルト、カムバック!
『動物農場』(ジョージ・オーウェル)
『皆勤の徒』(酉島伝法)
『足摺り水族館』(panpanya)
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