『聖なる怠け者の冒険』(森見登美彦

 出た出た! ついに出ました! ところは京都、ときは祇園祭宵山たる土曜日、確信的怠け者である主人公と怪人ぽんぽこ仮面、そして彼らをめぐる探偵と助手と先輩カップルとアルパカと各種団体その他モロモロが交錯するめくるめく物語。森見世界をドップリ堪能できます。あー気持ちいい気持ちいい。森見登美彦の作品群はゆるやかに繋がっておりまして、今作はなかでも『有頂天家族』『宵山万華鏡』との関係が深く、ファンはニヤニヤしながら読むことができます。勿論初体験でもめっぽう楽しいことは保証いたしますよ。蕎麦を手繰り、湯船に身を沈め、惰眠を貪り、ドテドテに暑い宵山の京都に行きたくなる作品でした。近刊案内を見ると、今年は森見作品がドシドシ刊行されるようで楽しみでもあり、ここのところお休み中だったところにいきなりギアを戻して大丈夫やろうかとちょっと心配になったり……ここしばらくは〆切に追われて体調を崩されていたとのことで、それを知っていると怠け者というお題にも感じ入るところが出てきます。7月からのTVアニメ『有頂天家族』もおおいに楽しみにしております。面白きことは良きことかな! 森見京都を舞台にゲームをしてみたいなあ。電源あってもなくても構わないから。

聖なる怠け者の冒険

聖なる怠け者の冒険

『聖なる怠け者の冒険【挿絵集】』(フジモトマサル

 「聖なる怠け者の冒険」はもともと朝日新聞の連載小説で、当時掲載された膨大な絵があるのです。このすこぶる魅力的な挿絵を放っておくのは勿体無いというもの。眺めていると大変楽しくなってきます。「聖なる怠け者の冒険」は単行本化にあたって最初から書きなおしたそうで、連載時はまったく違う話だったこともうかがえますよ。

聖なる怠け者の冒険 挿絵集

聖なる怠け者の冒険 挿絵集

「Papers,please」

 「速水さん向けのゲーム」と言われたのでやってみたら、これがまたホントに僕のために作られたのではないかという恐るべきものでした。曰く「ディストピアン・ドキュメント・スリラー」! なんじゃそりゃ! プレイヤーは入国管理官となり、パスポートやIDカードや労働許可証に不正がないかネチネチとチェックしつつハンコをバタンバタン押していく素晴らしいゲームです。居丈高に「次!」と呼ばわりたくなります。慣れると書類確認の手際が良くなる辺りも楽しいですぞ。僕がやったのはβ版なので、プレイ時間が短いのも嬉しいところ。ちょうオススメでございます。

ゼブラ漫画用Gペン

 ゼブラのGペンがリニュアルしまして、まさにゼブラGペンユーザーである僕は気になるどころではありません。まだストックは山ほどあるのですが、ネットでの評判がすこぶるいいので買ってみました。描き味のなめらかさ、繊細さが増したうえでGペンらしい腰の強さも健在という感じ。すごいという噂の耐久性についてはまだわかりません。とりあえず今のところは「漫画用」と銘打った気合いに違わぬ好印象です。ふむふむ。

探偵はBARにいる 2』

 ススキノ便利屋シリーズの映画第二弾ということで、原作ファンの僕は胸踊らせて行って参りまして、しかしどうも、ううん。役者はさすがに達者です。松田龍平エロいです。小ネタも楽しかった。でも粗い映画だなあー。プログラムピクチャーなので粗い事自体は悪くないのだけど、だったらもっとイキオイ重視にすればよかったのに。無駄なところがやたら多かったのは残念。観たあと「あそこはどうなの」「俺ならこうする」と盛り上がりました。映画代損したとまでは思わないものの、勿体無い。3作目を作るなら、短編から膨らますか、完全オリジナル脚本がいいんじゃないかなー。あッ、小ネタといえば、原作でさんざん不味いと描写されている「モンデ」のナポリタンが本当に不味そうだったのは感心しました。しかも不味そうに食べる、などの演技に頼らずに。

  • 16世紀〜17世紀ロシアのストレリツィ(銃兵隊)というのは僕が大好きステキちょうかっこいいと大騒ぎするネタのひとつでして、その素晴らしいリエナクト動画がありました。これはたまらぬ。最後に合戦している相手はスウェーデン軍かしら?