『空中軍艦大和1944』(桂令夫)
桂さんの新作小説です。仮想戦記かと思って見逃すのは勿体ない怪作ですぞ。かつてのポプラ社あたりのジュブナイル小説のふりをした、素晴らしい与太話です。小学校の図書室の香りがします。ちょっと冒頭を引用してみますと
「あっ、これはどうしたことだ!」
白瀬堅一郎技術大尉は、思わず、そうさけんだ。
呉海軍工廠(海軍でつかうための軍艦をつくるところ)での、たいへんいそがしい仕事をおえて、秋の夜汽車にゆられていたところだった。
とまぁ、万事こんな調子です。登場人物紹介ひとつとっても「スプルアンス提督…米海軍の提督のひとり。ずるがしこく、ゆだんのならない人物(後略)」といった具合。これをおおいに楽しめる人はそれなりにいるでしょうけど、そういう読者に届くかどうか不安でなりません。表紙デザインといい帯といい、もっとこの芸風に沿ったものにすれば良かったのに。あ、僕はゲラゲラ笑いながら読みました。このblogに来てくれている人なら多分大丈夫じゃないかしら。あと青島文化教材社に思い入れのある人はなにがなんでも。
『Comic 1984』
- 作者: 桂令夫,松代守弘,上田信
- 出版社/メーカー: イカロス出版
- 発売日: 2010/04/17
- メディア: 新書
- 購入: 7人 クリック: 119回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
- 作者: ジョージ・オーウェル(原作),INGSOC漫画省
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2010/04/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 2人 クリック: 641回
- この商品を含むブログ (6件) を見る