江畑謙介

 衝撃でした。まだ60歳なのに。バランスが取れ、冷静で、慎重で、おもねらず、それでいて内には熱いハートというかオタク魂がちらほら垣間見え、ユーモアと皮肉のセンス豊富で、愛妻家で、似顔の描きやすいあの人が。あのような人を紳士と呼ぶのでしょう。
 僕がソ連・ロシアファンになる過程で江畑氏の記事や本にはよくお世話になりました。その後も今に至るまで、江畑氏の本や記事は楽しみに読んできたものです。ウラジオストクの太平洋艦隊を初めて見学したときの記事では、抑えきれない嬉しさがにじみ出ていたのが印象的だったっけ。
 特定の分野に偏らず、兵器や国際情勢、戦略、軍事文化等々全てを俯瞰できていた、希有なジェネラリスト軍事評論家だったと思います。今後もなかなかいないでしょう。これからのミリタリー系書籍や雑誌はとても、とても寂しくなりますね。
 おつかれさまでした。本当にありがとうございました。