野田昌宏

 宇宙軍大元帥閣下こと、野田昌宏氏が亡くなられました。享年74歳。若すぎる……と言うべきか、でも数年前にお見かけしたときはずいぶんお爺ちゃんになってはったし。今までのお仕事のことなど考えると、大往生なのでしょう。最後まで現役でしたしね。
 僕にとって、まずは『キャプテン・フューチャー』をはじめとするスペースオペラの人です。子供の頃読んでいた本をあとから引っぱり出してみると、訳が野田さんということも多々ありました。そして『スペースオペラの書き方』は(手塚の『マンガの描き方』と並んで)今でも大事な一冊だし。あとなんといっても「SFは絵だねェ」とは、絵描きとしてこれほど奮起させてくれる言葉はありません!
 しかし、今年はSF史に残る厄年なのではありますまいか。もっとも、皆さん大往生された方ばかりで、つまりいつまでも先達に頼るのではなく、我々ががんばらんといけんということなのでしょうね。カットスロート出しますよ。
 アメリカがお好きで、宇宙開発の紹介などでもソ連に関してはわりとあっさり済まされてばかりでその辺親ロシア派としてはもどかしいこともありましたが、しかしロシアの土臭さ・野暮ったさは野田さんには似つかわしくないような気がします。同様に、しんみりと悼むのはそれっぽくないですね。陽気に明るくお送りするのが似合うのではないでしょうか。おつかれさまでした。本ッ当にありがとうございました!

 『風前の灯! 冥王星ドーム都市』が遺作になるのだねェ……。あと、あの膨大なパルプマガジンのコレクションはどうなるんでしょう。博物館でも建てなくちゃ。